「紹介されている写真はどれも、ため息がでるような贅沢さと華やかさ。」
あぁ、バブル期の欧米崇拝全く実用的でない系インテリア写真集か・・
と思ったのですが「あなたのインテリアはファッションと合っていますか」
という帯に惹かれたという、amazonの書評を読んで、ポチッとな。
(中古が送料込で300円未満だったのも大きい:1996年初版1,748円)
恐らく絶版?
「贅沢スタイル」の構成
写真半分、文字半分の写真集&エッセイ本。構成は以下の通り。
・光野さんの美しいエッセイ
・イタリア人のお家訪問レポ(これがメイン)
・光野さんの妄想インテリア計画
本のサイズがB6サイズ大程度なので、写真集としては少し残念なサイズ。
妄想インテリア計画は、レポが雑誌に掲載したもののため、
それだけの編集し直しでは・・・と書き下ろしたものかと思います・・・
光野さんの文章は美しいけれど、写真はデコレーターの作った作品であり、
彼女のインテリアの写真ではなく、キレイだけどつまらないかなぁ・・不要。
★
メインはとにかくイタリア人のお家訪問レポと、
そこから展開される光野さんのインテリア論がキモ。
光野さんがイタリア在住のバブル後半期に、
セレブファッション雑誌25ansのために取材したイタリアの邸宅の数々。
もちろん25ans向けハイソサエティのものばかりですが、
(フェラガモとかヴェルサーチの家)
いくつか、普通の家庭っぽいものもありました。
でも、そもそもこの本は、掲載されたインテリアの、
表面的な真似ではなく、形に宿る精神、インテリアを作る上での心構え、
みたいなものを学びましょうね、という方が主題かと思うので、
その写真が我々の参考になるかならないかは、あまり関係ないのです。
「贅沢スタイル」超要約
インテリアはその人を物語るものであり、
そこに住む人が表現されてこそ美しい調和を生む。
あなたのインテリアは外見と一致していますか?
暮らしのスタイルを積み重ねた先に、
私らしいスタイルのあるインテリアが作られるのです。
イタリア人家庭をレポして↑的なことを光野さんが気づいて行く過程を、
一つ一つ追うことができる感じです。
心に残った光野さんの言葉
人は10歳まで育った環境から一生逃れられないという説がある。それだけ環境が人を作るということだろう。だとしたら、外に出て行く時ばかりおしゃれしてもだめなのだ。自分らしいインテリアに住んで初めて、おしゃれも背景をもつといえるのではないだろうか。
「おしゃれも背景をもつ」だと!
やはり、美人になるためにはインテリアも気合いを入れないと!←何か間違っている
インテリアというのは家具と同義語だと思っていた。〜中略〜
インテリアとは自分にとっての心地よさを、自分自身と対話しながら形にしていくようなものではないだろうか・・・家具ではなく、まず人なのだ。自分が何を考え、どんなことに価値観をもち、どういう生活パターンを望んでいるのかがわからなければ椅子ひとつ買うこともできない。
ファッションもインテリアも、つきつめれば「自分がどう生きるか」ということを形にしたものである。
光野節炸裂!
ファッションもインテリアも、本気で取り組むと、
本当に同じような壁にぶち当たる。
自分はどう生きたいのか・・・うーん、インテリア精神論本です。
彼女自身とインテリア。そのイメージは揺るぎなく一致していたのである。
そんな人に、私はなりたい。
★
表面的な「装飾」に心を惑わされることのないよう、
無駄なインテリアショッピングをすることのないよう、
折を見て手に取って読み返したい本です。